AMBERのプログラム群に用いられる原子と残基の指定方法には3つの方法がある。AMBER maskとatom expressions、そしてGROUP specificationである。ここでは、多くのプログラムで使用されるAMBER maskを説明する。AMBER maskの表記法では、基本的に、残基を指定するための“:“か原子を指定するための”@“から始まる。残基を指定する場合には、その残基の番号もしくは名前を記載し、原子を指定する場合にも同様である。原子の場合には、”@%“として始めることで、原子タイプも指定することが出来る。”*”と“=“はワイルドカードを表し、”-“で、その文字の両枠で指定された数字によって指定される範囲を表す。また、括弧”()“で括られた部分は優先順位が高くなる。以下に、基本的な表記の例を示す。

1. 残基番号の指定

:1-10 # 1から10残基
:1,3,5 # 1、3、そして5残基
:1-3,5,7-9 # 1から3残基と5残基、そして7から9残基

2. 残基名の指定

:LYS # 全てのリシン
:ARG,ALA,GLY # 全てのアルギニン、アラニン、そしてグリシン

3. 原子番号の指定

@12,17 # 原子12と17
@54-85 # 54番目から85番目までの全ての原子
@12,54-85,90 # 12番目、90番目、そして54番目から85番目の全ての原子

4. 原子名の指定

@CA # CAを持つ全ての原子
@CA,C,O,N,H # CA、C、O、N、そしてHのどれかを持つ全ての原子(例えば、これは通常はたんぱく質の主鎖であろう)

5. 原子タイプの指定

@%CT # 力場タイプCTを持つ全ての原子
@%N*,N3 # 力場タイプN*かN3のどれかを持つ全ての原子


AMBER maskは”&“(and)や”|”(or)、そして“!”(not)の論理演算子をも含む。いくつかの例を以下に示す。

1. "&"(and)による指定

:1-10 & @CA # 1から10残基のCA原子

2. "|"(or)による指定

:WAT|:LYS,ARG # 水分子もしくは、リシンとアルギニン

3. "!"(not)による指定

:*&!@H= # H最初の文字として含む原子以外の全ての原子


不等号“<“と”>“を使用することによって、距離によって原子と残基を指定することが出来る。以下にいくつかの例を示す。

距離による指定の例1

:11-17<@2.4 # 11残基目から17残基目から2.4 Åより近い距離にある原子全て

距離による指定の例2

(:1-55 >:3.0) & :WAT # 1残基目から55残基から3.0 Å離れている水分子全て


参考文献
http://ambermd.org/doc12/Amber16.pdfhttp://lysozyme.medchem.utah.edu/ros/c/