AMBERではMDシミュレーションを行うにあたって、以下の5つの情報を必要とする。

1. 系の各原子のデカルト座標

文字通り、デカルト座標系における系を構成する各原子の座標情報である。大抵の場合、X線結晶構造解析やNMR、ホモロジーモデリングといった方法によって得られたものを使用する。最近では、クライオ電子顕微鏡も有力な構造解析法であろう。実験的に決定された構造は、Protein Data Bank (PDB)(https://www.rcsb.org/)に公開されている。また、アミノ酸配列の情報があれば、AMBERが持つプログラムLEapを使用して簡単な初期構造は作成することができる。PDBフォーマットで用意すると便利であることが多い。


2. トポロジー

トポロジーは、残基名や原子名、原子タイプ、電荷、結合情報のことを指す。この情報は$AMBERHOME/dat/leap/libのディレクトリに格納されている。このデータベースには、アミノ酸やDNA、RNA、糖、脂質といった生体分子の情報が含まれる。これ以外に、例えばリガンド等の人工的な分子を取り扱う場合には、antechamberを使用してトポロジーを作成できる。


3. 力場

原子タイプや角、二面角、結合のためのパラメーターのことを指す。これは$AMBERHOME/dat/leap/parmのディレクトリに格納されている。トポロジーと同様にアミノ酸やDNA、RNA、糖、脂質のためのパラメーターが用意されている。それ以外の分子を取り扱うためのgeneral amber force field(GAFF)やその改良版であるGAFF2が用意されている。


4. 系の情報を格納したインプットファイル(prmtopファイル、inpcrdファイル)

取り扱う系の座標・トポロジー・力場が記載されたファイルで、MDシミュレーションを実行する際に用意するファイルである。LEapを使用して系の各原子のデカルト座標と、トポロジーと力場のデータベースから作成される。


5. コマンド

コマンドによって実際にプログラムを動かす際にユーザーが指定するオプションやパラメーターを指定する。NAB言語で書かれたドライバプログラム、もしくは、mdinファイルによって指定する。通常はmdinファイルを作成し、読み込ませることが多いであろう。


参考文献
http://ambermd.org/doc12/Amber16.pdf