namd2を用いて計算を実行するに当たって、以下のファイルが必要となる。

1.シミュレーションの設定を記述したファイル(.conf)

分子動力学計算に必要な設定はすべてこのファイルに記述され、このファイルをnamd2が読み込むことによって計算が実行される。 下記に示すようなpdbファイル、psfファイル、力場の情報を持ったファイルにどのファイルを指定するかの情報もこのファイルに記述される。 例えば以下のように記述した設定ファイルubq.confがあったとする。

#ubq.conf

set temperature     300

structure           ./ubq.psf    ;#タンパク質の構造データを現在のディレクトリから選択
coordinates         ./uqb.pdb    ;#タンパク質のデカルト座標データを現在のディレクトリから選択

temperature         $temperature ;#初期速度をマクスウェルボルツマン分布に従って生成

set outputname      ./output/ubq ;#変数を作成。これは後に出てくるoutputnameに設定する名前を決定する

firsttimestep       0 ;#最初の時間を0に設定する

paraTypeCharmm      on ;#charmm力場を使用する
parameters          ./par_all27_prot_lipid.inp ;#力場のファイルを読み込む
#注意点 上記はcharmm27の力場ファイルに見えるが、charmm22力場に
#二面角のcross term map補正(通称 CMAP correction)を加えたものである

exclude             scaled1-4
1-4scaling          1.0
switchdist          10.0 ;# スイッチング距離の設定
cutoff              12.0 ;# カットオフ距離の設定 
pairlistdist        14.0 ;# ペアリストを更新する距離を設定

timestep            1.0 ;#時間ステップを1fsに設定
fullElectFrequency  4   
steppercycle        20  

cellBasisVector1    42.0  0.0  0.0
cellBasisVector2     0.0 44.0  0.0
cellBasisVector3     0.0  0.0 47.0
cellOrigin          31.0 29.0 17.5

#上記はシミュレーションを行う箱(セル)の設定

PME                 yes ;#particle mesh ewald法を使用する
PMEGridSizeX        45  ;#PMEのグリッドサイズをそれぞれ設定
PMEGridSizeY        45
PMEGridSizeZ        48

# Output
outputName          $outputname ;#出力先に変数$outputnameに格納された値を使用する

restartfreq         500     ;# リスタートファイルを1ns毎に作成
dcdfreq             250     ;# トラジェクトリを500ps毎に記録
outputEnergies      100     ;# エネルギーを200ps毎に記録
outputPressure      100     ;# 圧力値を200ps毎に記録

# Minimization
minimize            100     ;# エネルギー極小化計算を100回
reinitval           $temperature ;# 初期速度を再設定する

run 2500 ;# 5psのNVE分子動力学計算を行う。
#今回はサーモスタットもバロスタットも設定していないのでNVEアンサンブルでの計算となる。

シミュレーションを実行したい場合、このファイルをコマンドライン上で

$namd2 ubq.conf

のように読み込むことでシミュレーションは実行される。

2.系の座標情報をデカルト座標系で記述したファイル(Protein Data Bank:pdb)

系を構成する原子の座標情報をデカルト座標系において記述したファイル。 実験的に決定された構造が公開されているProtein Data Bank (PDB)(https://www.rcsb.org/)からダウンロードして使用する方法と、アミノ酸配列の情報を用いてモデリングする方法が存在する。

3.系の構造情報を記述したファイル(Protein Structure File:psf)

タンパク質構造ファイル(protein structure File:psf)は分子系に特定の力場を適用するために必要な分子の固有情報をすべて 含んでいる。
CHARMMトポロジーファイルから作成される。

4.力場の情報を持ったファイル

CHARMM力場の関数に具体的に数値を与えるファイル。
psfを作成するためのトポロジーファイルに加えて力場のファイルは以下のURLにおいて提供されている。
http://mackerell.umaryland.edu/charmm_ff.shtml
特にcharmm22のタンパク質用の力場を使用した場合は以下のURLからダウンロードが可能である。
http://mackerell.umaryland.edu/download.php?filename=CHARMM_ff_params_files/toppar_c32b1.tar.gz